Payments マンスリー · 2026-10マンスリー
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ステーブルコイン規制と決済インフラの拡大
本号は2026年10月1日から10月31日までを対象とする。ステーブルコイン規制は引き続き階層化・地域化が進んでいる。米国OCCは決済用ステーブルコインの規制枠組みを確定し、EUはUSDCを初の重要な電子マネートークンに指定するとともに、サービス事業者にMiCA不適合ステーブルコインのエクスポージャー解消を求めた。カナダはステーブルコイン規則案を公表し、ロシアは認可された取引・カストディ体制を整備するとともに、個人間P2P取引を制限している。決済インフラでは、Mastercard、Visa、Stripeなどがステーブルコイン決済、カード発行、越境送金を拡大し、欧州の決済組織は越境相互運用ネットワークを立ち上げた。デジタルユーロの試験運用と発行準備は継続して進展している。欧州と香港はT+1決済への移行を計画し、トークン化証券、担保、レポ取引が実用化され始めた。一方、米国の銀行におけるAMLの不備、クラウドサービスの障害、金融サービスへの制限は、規制・執行上の注目を集めている。
ステーブルコイン規制の分化
この面の読みどころ米国OCCは決済用ステーブルコイン発行者の準備金、償還、カストディ、資本、報告要件を明確化。EBAはUSDCを重要な電子マネートークンと認定し、ESMAはサービス事業者に不適合ステーブルコインからの撤退を求めた。カナダは1対1の準備金を義務付け、利回りを禁止する方針を示した。一方、ロシアは認可機関を通じて取引とカストディを進めるとともに、個人間のP2P送金を制限する計画を進めている。
OCCが決済用ステーブルコインの規制枠組みを確定、規則は Jan 18 に発効
OCCは管轄対象となる決済用ステーブルコイン発行者の規則を確定した。準備金、償還、カストディ、リスク管理、資本、報告、監督を対象とし、Jan 18 に発効する。この枠組みは、国法銀行および連邦貯蓄組合の子会社、連邦認可を求めるノンバンク発行者、一部の外国発行者に適用される。BSA、AML、OFAC制裁遵守要件については、財務省が別途規則制定を調整する。
EBA、MiCAに基づきUSDCを初の重要な電子マネートークンに指定
EBAはMiCAに基づきUSDCを重要な電子マネートークンに指定した。EUで現在届け出られている45のEMTのうち、USDCがこの指定を受けた初のトークンとなった。2026年11月12日から、EBAは発行体の自己資本、準備資産、流動性、ならびに再建・償還計画を直接監督する。フランスのACPRは引き続き、ガバナンス、適格持分、適格性審査、外部委託、利益相反を担当する。
ESMA、EUの暗号資産企業に3カ月以内の不適合ステーブルコイン解消を要求
ESMAはEUの暗号資産企業に対し、2027年1月8日までにMiCAに適合しないステーブルコインへの既存エクスポージャーを解消するよう求め、各国の金融規制当局には執行状況を監督するため90日間の猶予を与えた。USDTを保有する個人が直接禁止の対象となるわけではないが、MiCAの規制を受けるEUサービス事業者は関連サービスの提供を停止しなければならない。一方で、清算、交換、出金、送金、保管など、ポジション解消のためのサービスは提供できる。
カナダのステーブルコイン規則案、利回りを禁止し発行者に準備金の銀行預け入れを義務付ける方針
カナダはCanada Gazetteでステーブルコイン規則案を公表した。発行者が保有者に直接または間接的な利回りを提供することを禁止し、ノンバンク発行者に準備金を銀行に預け入れるよう義務付ける方針だ。草案はさらに、発行者の登録、トークンを高品質流動資産で少なくとも1対1で裏付けること、額面での償還を求めている。60日間のパブリックコンサルテーションが始まり、Finance Canadaは2027年の枠組み発効を見込んでいる。
ロシア、2027年7月に個人間のP2P暗号資産取引を停止へ、11機関にライセンス
ロシア中央銀行は、個人間のP2P暗号資産送金が可能なのは2027年7月1日までで、それ以降は認可されたカストディウォレットを通じてデジタル通貨を移転しなければならないと明らかにした。ロシア中央銀行は、Sberbankを含む11機関に暗号資産取引業務の認可を与えた。現段階で個人投資家が取引できる資産はBitcoin、Ethereum、TetherのUSDTに限られる。
ロシア中央銀行、FSBによる認可済みカストディウォレットの秘密鍵と顧客データへのアクセスを支持
ロシア中央銀行は、FSBが認可済みカストディ機関に保管されたロシアの居住者および企業の暗号資産ウォレット秘密鍵に即時アクセスできるようになると述べた。2027年3月1日から、暗号資産取引所、ブローカー、デジタルカストディプラットフォームは、顧客との通信やその他の記録を含むデータへのリモートによる24時間365日のアクセスも提供しなければならない。ロシア国内で暗号資産を保有・利用するには認可済みサービス事業者を通す必要があり、国内市場での個人用セルフカストディウォレットは事実上禁止されるが、越境決済には利用できる。
ステーブルコイン決済の拡大
この面の読みどころMastercardとBVNKは単一APIで法定通貨とステーブルコインの保有、交換、決済をつなぎ、VisaはVisa Directの法人向けサービスにステーブルコインを導入し、Stripeはステーブルコインによるカード発行とグローバル送金を拡大する。HSBCはPayMeで香港ドル建てステーブルコインを開始し、欧州と中東の決済事業者も新たなライセンスを通じて加盟店決済、送金、越境決済を拡大している。
VisaとMastercardがステーブルコイン決済サービスを開始、越境送金と世界中の加盟店での利用に対応
VisaはVisa Direct向けにステーブルコインを組み込んだ法人向けサービスを開始し、Inyo Globalを通じて企業が180超の国・地域に国内外の送金を行えるようにした。MastercardはBVNKとGlobal Money Platformを開始した。このプラットフォームでは、ユーザーは世界中のMastercard加盟店数億店でステーブルコインを使って決済できる。初期ユーザーにはNuvei、Marqeta、Ontop、Beem、Almond Fintechが含まれる。
MastercardとBVNK、法定通貨とステーブルコインの決済プラットフォームを開始
MastercardとBVNKはMastercard Global Money Platformを開始した。単一のAPIを通じて、銀行、フィンテック企業、企業が法定通貨とステーブルコインを保有、交換、送金、決済できる。
Stripe、Global Payoutsとステーブルコインカードを拡大し、統合APIスタックを提供
Stripeはフィンテック企業向けに、Global Payoutsの拡大、EU27カ国でのステーブルコインカード提供、統合APIスタックの提供という3つのグローバル展開関連の更新を発表した。Global Payoutsは現在、160市場への即時ステーブルコイン送金と、100超の市場への従来通貨による送金に対応する。ステーブルコインカードは世界65超の国・地域を対象とし、2026年末までに100カ国へ拡大する計画だ。
HSBC、PayMeで香港ドル建てステーブルコインRedCoinを開始。企業の関心は金利から決済時間へ
HSBCは2026年10月23日、PayMeで香港ドル建てステーブルコインRedCoinを開始した。330万人を超えるユーザーが数日以内にウォレットを開設できるようになる。記事は、ステーブルコインが主に越境決済の中間清算を代替すると指摘する。オンチェーンの入金は数分単位で行われる一方、交換と入金処理は銀行または認可機関に左右される。越境加盟店は、オンチェーン手数料、交換レート、為替上乗せを総コストに含めるとともに、加盟店の受け入れ要件、銀行との連携、AML要件にも注意する必要がある。
Ant International、アラブ首長国連邦中央銀行からRPSCSおよびSVFライセンスを取得
Ant Internationalはアラブ首長国連邦中央銀行から、Retail Payment Services and Card Schemes Category II(RPSCS)ライセンスおよびStored Value Facilities(SVF)ライセンスを取得した。
Ziina、CBUAEから加盟店決済と越境送金の提供認可を取得
ZiinaはCBUAEのRetail Payment Services Category IIIライセンスを取得し、アプリやその他のデジタルチャネルを通じた海外送金の提供認可も受けた。このライセンスは、国内の資金移動、加盟店アクワイアリング、決済アグリゲーションに加え、決済リンク、QR payments、Tap to Pay、オンライン決済ゲートウェイなどの加盟店向け決済ツールを対象とする。
デジタル金融インフラ
この面の読みどころECBはデジタルユーロ、Pontes、Appiaを推進しており、デジタルユーロの試験運用と2029年の発行目標が具体化しつつある。欧州は2027年にT+1決済へ移行する予定で、香港は2028年下半期のT+1移行を計画している。DTCC、BNYなどは、トークン化証券、国債担保、三者間レポ取引の活用を進めている。
Piero Cipollone:デジタルユーロは2029年に導入される可能性、試験運用は開始済み
ECB理事会メンバーのPiero Cipolloneは、デジタルユーロは現金と併存し、2029年に導入される可能性があると述べた。試験運用プロジェクトは夏に始まり、第1回テストは来年開始される。ECBは約60件の申請から36社を試験運用に選定した。デジタルユーロはオフライン決済にも対応し、小規模加盟店がデジタル決済を受け付けるコストを半減させる可能性がある。
Piero Cipollone:ECB、デジタルユーロ、Pontes、Appiaを通じて欧州デジタル金融インフラを整備
ECB理事会メンバーのPiero Cipolloneは、ECBがデジタルユーロ、Pontes、Appiaを通じ、中央銀行マネーを個人向け決済とトークン化されたホールセール金融へ広げていると述べた。デジタルユーロの試験運用は2027年下半期に開始し、12カ月間実施する予定だ。立法手続きが2026年末までに完了すれば、ECBは2029年に初回発行の準備を整えることを目指す。Pontesは9月21日に開始され、トークン化資産を中央銀行マネーで決済するために使われる。全面的な導入は2028年半ばの完了が見込まれる。
Piero Cipollone:欧州、2027年にT+1へ移行し、証券インフラのトークン化を推進
ECB理事会メンバーのPiero Cipolloneは、欧州が2027年10月11日に証券決済をT+2からT+1へ移行し、取引から証券の受け渡しと支払いまでの期間を1日に短縮すると述べた。T2SはすでにT+1、さらにはT+0決済に対応しており、関連する夜間決済プロセスは2027年6月に調整される予定だ。同時に、Pontesはトークン化資産の中央銀行マネーによる決済に対応しており、Eurosystemは稼働時間の拡大を計画するとともに、Appiaを通じて共通基準に基づく欧州のトークン化金融エコシステムを検討している。
DTCC、米国証券のトークン化サービスを開始、Alpacaなど20機関が参加
DTCCは証券トークン化サービスを開始した。Alpacaは開始時に契約した20機関の一つで、カストディ資産である米国株、ETF、米国債をトークンに変換し、償還できる。Alpacaのネットワークを流通するトークン化株式は第三者が発行し、通常は経済的エクスポージャーを提供するが、議決権や配当権は含まない。一方、DTCCは、自社のトークンがカストディ対象証券の所有権と投資家保護を維持すると述べている。初期対象資産はRussell 1000構成銘柄、主要指数ETF、米国債。DTCCは参加者を順次増やし、2027年にはさらに多くのブロックチェーンネットワークを追加する計画だ。
BNY、Tradewebでトークン化米国債を担保とする初の三者間レポ取引を実施
BNYとCitadel SecuritiesはTradewebプラットフォームで、トークン化米国債を担保に使った三者間レポ取引を実施した。トークン化証券はBNYのプライベート台帳に記録され、決済時間はT+1ではなく数分に短縮された。
HKEX、香港証券市場のT+1決済目標を2028年下半期に設定
HKEXは、市場の準備状況と規制当局の承認を条件として、2028年下半期に香港証券市場の決済サイクルをT+2からT+1に短縮する計画だ。HKEXは、指図受付時間の延長、リアルタイム更新・照合の拡充、Settlement Profile RepositoryとStatus Dashboardの導入という三層の枠組みで移行を支援する。香港の決済制度に従う南向きStock Connect取引もT+1に移行する。
コンプライアンスと運用レジリエンス
この面の読みどころBank of Americaはマネーロンダリング対策と制裁遵守の不備により12.1億ドル超の罰金を科され、American ExpressもAMLプログラムの不備を理由に処分を受けた。韓国は銀行のネットワーク分離規則を緩和する計画を停止し、Google Cloudの障害は西欧の銀行サービスに影響した。FINTRACは評価、登録取消、罰金など、年次の監督結果を公表した。
Bank of America、マネーロンダリング対策と制裁遵守の不備で$1.21 billion超の罰金
米国財務省は、マネーロンダリング対策と制裁遵守の不備を理由にBank of Americaへ$1.21 billion超の罰金を科した。同銀行は銀行秘密法に違反したことを認めた。このうちBank of AmericaはOCCに$750 millionを支払い、OFACとは制裁違反に関する$11.6 millionの和解に合意した。OCCは、同行の監視システムに重大な欠陥があり、数十億ドル相当の関連する疑わしい取引の報告が遅れたと述べた。
OCCとFederal Reserve、AML上の不備を理由にAmerican Expressに執行措置
OCCとFederal Reserveは、American Expressおよびその子会社のAMLプログラムの不備を理由に同時に執行措置を取った。American Express National Bankには$350 millionの民事制裁金が科され、業務停止命令が出された。
韓国金融委員会、銀行のセキュリティ規則緩和計画を一時停止
AIを利用した攻撃が7つの金融機関に及び、数万件の顧客記録が流出したことを受け、韓国金融委員会は銀行のセキュリティ規則緩和計画を一時停止した。参加銀行を選定する次の手続きは、当初10月7日に予定されていた。この計画は韓国のネットワーク分離規則に関するものだ。第1段階では、資産が少なくとも10 trillion won、従業員が少なくとも1,000人の49機関に、1年間の適用除外が認められていた。第2段階では75社への拡大が予定されていた。
Google Cloudの6時間にわたる障害が西欧の銀行サービスに影響、英欧の規制当局が説明を要求
Google Cloudの英国データセンターで電源障害が発生し、西欧の銀行サービスが約6時間にわたって中断した。Lloyds、HSBC、Revolutなどの機関で、モバイルバンキング、カード決済、現金引き出しに影響が及んだ。
FINTRAC、2025–26年度の金融情報およびマネーロンダリング対策監督の実績を公表
FINTRACは2025–26年度の業務実績を公表した。開示パッケージ7,214件、個別開示3,007件を作成し、金融取引1.68M件を対象としたほか、重大な捜査348件を支援した。監督面では、4,874件の評価・モニタリング活動を行い、MSB登録82件を取り消し、違反通知35件を発出し、$247M超の罰金を科した。これにはCryptomusへの$176 millionの罰金が含まれる。